情報技術の進化
「全体最適だ!/DXだ!/ビジネスモデルの変革だ!」と、キャッチフレーズは変わるが、本質的には日本の「生産性の向上が進んでいない」事、残念ながら30年間同じ指摘をされている。
DX デジタル活用
30年前は『IT』の影響でホワイトカラーが失業すると言われ、実際COBOL等による勘定系や給与等のパッケージで、経理や総務などの省人化が進み、最近は『AI』により弁護士、コンサル、プログラマー等の失業、SAASの死などと言う話題も出ている。
では、この30年間にユーザーが支払った膨大な「合理化投資」は、どこに行ったのか?一握りの成功事例を『DX』と呼ぶが、多くは「システム」と言う名の箱モノを買わされ、結果これに縛られて保守経費を払いながら、延命措置に甘んじている。
実際、「定形業務の合理化は、部署のコスト削減」で、ユーザーが期待するIT活用による事業競争力の強化のほんの序章(デジタル化の段階)でしかない。
本章(DX)の準備となるのが『情報系のデータベースの構築』で、まずは「欲しいデータをCSV形式でダウンロードして、Excelで自由に加工出来ます。」と言う事だが「データ活用の目的」を良く考えないと、これまた、ただの箱モノになってしまう。
その目的は、①自社の問題点を見える化する事と、②問題点を解消するためのツールとして活用する事の2つで、そのために不足するデータがある場合は、勘定系の既存データを活用しながらデータベースに追加する仕組みが必要になる。
この準備までが『DXの第1STEP』である。大切なのは、データベースを有効に使う事であり、現状の「問題点」を具体的に見える化する事である。
せる意識を持って『見え易くする』ための調整や改良を加える事が重要である。
問題点が、具体的で見え易くなると、まず『気づき』があり、具体的なリストがあると共有しやすい上、具体的なアクションが取れる。これが『情報系のデータベースの構築』の目的である。
BPR 業務プロセス改革
しかし、人手でやっている仕事をプロセスを変えずに「IT化」してもその部署の仕事が「省力化」なり「正確化」出来るくらいで、実は大きな利益効果にはならない。
源泉は「3ム」(無理・ムラ・無駄)の排除であり、即ち「ITの力」をいかににして、自社の大きな「3ム」と関係づけ、ロス排除に繋げるか?が、最大のテーマである。
そのために必要なことは、自社の最大の「3ム」とそのルーツとなる原因(根本原因)を探し出すことであるが、そのアプローチは、平時と有事で異なる。
平時の場合は、2つのアプローチがあり
①「ERP(統合型基幹業務ソフト)」を最適プロセスと信じ、強制的に適合・導入する
②「思考プロセス」の様な分析ノウハウを使って「現場調査→問題抽出」する
有事の場合は「何らかの危機」で「待ったなしのトラブル対応」となる
ITを新しいプロセスのどこに使うか?
情報処理における「ITの力量」は野球に例えると、大谷翔平くらい一般人とは比較にならないほどのレベルであるが、彼が野球以外の定形業務に入った場合を考えると、一般人より良い仕事が出来たとしても稼ぎは1.5倍にもならない。
真面目な性格ゆえ、黙々と働いて、周りの人も案外違和感を持たないかも知れない。しかし、そこには計り知れない程の「無駄」(機会損失)がある。この場合「彼は自分に合った仕事を探すべき」(誰かが紹介しても良い)で、それが実現すれば莫大な価値を生む事になる。
しかしこの実現のためには、それを企画する人間や、サポートするスタッフが必要なだけでなく、現在のスター打者やスター投手の行く先も考えておかなくては事はスムーズに進まない。

ポイントは「定形業務の合理化は、該当部署のコストが減る」に留まる事で、情報技術の活用方法としては、手堅いが守りであり、攻めの活用とは言い難い。
勘定系のシステムは1−2回/日のインプットの締切を設け、登録内容の検証を行い、データ精度を確保する上、データに変更が発生した場合は、登録/変更の経緯が確認出来るように「赤黒処理」で経緯も記録として残る仕組みである。
最近はパッケージソフトへの移行が進んでいるが、いずれにしても取引や資産に関する各種実績データのデジタル化は、定形業務を対象に、1980年頃一気に進んだ。
当時は各社独自の仕組みがあり、COBOL等で作り込んだが、この膨大なソフト資産をどう更新し、更なるDXにつなげるかは大きな課題である。
生産管理システムの目指すもの
他方、生産に直結する生産管理は、営業や製造などのいわゆるラインとは異なり、スタッフの立場でラインを支援し、組織全体の目標達成(通常は利益目標)に貢献することが求められる。
その仕事のやり方については、経理における会計基準の様な制約は無く、状況により様々なケースがあり「非定形業務」の見本の様な仕事のためシステム化が難しい。
営業や製造などいわゆるラインの部署が、各部署の目標を目指して仕事を行うのに対し、生産管理は、全体の調整役として、組織全体の目標達成に貢献することが求められる。これらの部分最適のバランスをとる形で、生産をコントロールする事が必要になるが、その際の武器は、パソコン上のExcel表などであるケースが少なくない。
この「手作業+マクロ」のソフトは、属人化の懸念から、将来メンテ不能になる懸念があり、ここに来て次善策として、高価なパッケージソフト導入を検討する話を耳にする。
しかし「製造会社の核心」は生産であり、生産管理の良し悪しが会社の収益性を大きく左右します。目指すべきは「標準化」ではなく「自社の状況に応じた、利益の最大化」であり、それは多くの場合、現状の部分最適からの脱却を意味する。
アプローチのヒントとして、 TOC(制約理論)があるが、品目数がせいぜい数百点で、プロダクトアウトの時代の実践的な手法であり、数千〜万点以上となった上に流通からの圧力が大きい「多品種変量の受注生産」では、それ以前の課題を片付ける必要がある。
それは情報の正確さを取り戻し、その基盤となる最低限の相互信頼を作る事だが、容易な事ではない。たくさんの「無理」を通して来た結果「道理」が引っ込んでしまった状態の逆を戻る事で、その無理が各部署の目標や成功体験とリンクしているからである。
、これがないと「制約が分からない」だけでなく「偶然に制約を潰してもスループットは上がらない」事になる。
各部署が各々の目標を積極的に追った結果、逆に全体最適から離れて行き、信頼関係が崩れ、情報の質が低下している状況では「何が制約なのか」を正しく把握出来ない。
自社の改善状況によるが、ボトルネックを潰す活動の前にやるべき事があり、
の場合は、
この移行生産を止める訳には行かず「新築ではなく住みながらのリフォーム」の様なシステム構築が必要になる。ずに
生産管理は全組織の要として、すべての情報を統合し、日々変化する要求の中で『全体最適な生産運営』を計画し、的確な指示を発信し続けなければならない。
しかし、そこを目指す過程は、業務の見直しや改善になるが、1つの目標をクリアすると、次の目標が見えて来る様な「継続的な改善」=「進化」であり、それを支える柔軟な情報基盤が求められる。


